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DXに先行して取り組む企業と、取り組みが遅れている企業との間では、業績や成長に差が広がりつつあると言われる。そうした中、グローバル企業から中小企業まで多くの企業の戦略立案などに携わる経営コンサルタントの株式会社クロスフィールド(東京都港区)は、早くから自社のDX にも取り組み、成長を続けている一社だ。同社代表取締役社長の設楽和彦氏に、自社のDX の取り組みとその効果、そして経営コンサルタントの視点から見た中小企業のDX について聞いた。

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代表取締役社長 設楽 和彦 氏

-貴社のDX の取り組み状況をお聞かせください

当社は、もともと公認会計士が中心となり会計・経理領域においてサービスを開始し、現在は経営管理強化からグローバルプロジェクトの推進まで、幅広いコンサルタント業務を手掛けています。

弊社の業務を支えるシステムツールは2種類に分かれます。対クライアントなど「外部向けのシステムツール」と、社内業務など「間接業務の管理業務ツール」です。

前者の対クライアント向けシステムツールは、顧客接点の強化・拡大のため早くから充実させてきました。Office365の利用で、すべてのコンサルタント業務についてクラウド化により、ファイル共有やウェブ会議など多彩な働き方について対応できるよう必要な環境を整えてきました。そのため、リモートワーク環境もコロナ前から整備しており、新型コロナにも即対応することができました。

- 社内業務など間接的な「管理業務ツール」ではどのような状況ですか

当社では常に複数のプロジェクトが同時進行しており、個別案件ごとに、どういうリソースを使うか、どのくらいのコストがかかるか、採算性やスタッフの稼働状況を適切に管理することが必要です。

以前は、表計算ソフトで個別に手動で算出し、経費精算についても紙媒体で申請していたため、プロジェクトごとの集計に大きな負荷がかかっていました。

これを一元管理するため、約5年前にSaaS のサービスツールを導入しました。現在はプロジェクトの採算管理からスタッフ管理、費用管理など、そうした管理業務をすべてそのSaaS ツール上で行っています。

- 管理業務においても、効率化や生産性向上が一気に進んだということでしょうか

そうですね。管理業務において個人からの申請はすべて電子的に処理しています。例えば領収書も画像ファイル化して添付すれば、経理担当もそれを見て突合できます。プロジェクト管理においても、誰がどのくらい稼働しているのか、勤怠管理を含めて把握することができます。

必要なプロジェクト管理業務がすべてそのSaaS ツールの中で完結できることが、業務効率化や生産性向上に寄与しています。さらに経営データの可視化もできることから、意思決定の強化やスピード化にもつながっています。

- こうしたDX に取り組むきっかけとなったのは

当社は経営コンサルタント業という職業柄、大企業やグローバル企業などのDX 先行事例を目にする機会が多いだけではなく、クライアント企業がDX を加速する中で、当社もそうした知見や経験が求められます。自社でも有効なツールや手法は積極的に取り入れるようにしています。最近の一例は、コロナ禍を契機として導入したワークフロー管理と電子契約です。もともと、取引先との契約業務を通じて利便性は実感しており、いつかは導入したい仕組みではありました。

コロナ禍においては、リモートワーク環境はあったことからすぐに在宅勤務に切り替えられましたが、管理業務では紙媒体での運用が一部残っており、総務経理スタッフが部分的に出勤せざるを得ず、対応に苦慮しました。出社できない状況で、紙媒体をどうやってなくすかということが切実な課題となり、ペーパーレス化を一気に加速することにしました。

- コロナ禍以前は紙媒体での契約が主体でしたか

コロナ前までは一部のクライアントとは電子契約でしたが、当社の外注先でもあるビジネスパートナー各社との契約は、全て紙媒体で行っていました。それを当社が主導する形で電子契約に切り替えました。

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