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2022年以降は、コロナ禍での諸問題の解消が進み、円安効果を背景とした好調な業績などを好材料として、トヨタが日本企業歴代最高の時価総額(2024年1月23日現在)を記録するなど自動車製造の業界環境はコロナ禍以前以上に回復している。

コロナ禍で緊急事態宣言発出による購買意欲の低下、部品調達などのサプライチェーンの混乱、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとした世界情勢の変化、半導体不足による減産などに見舞われ、供給能力が大幅に低下した。このため人気車種の納期は1年以上に延びるなど、自動車販売業界に多大な悪影響が出た。一方、新車販売が落ち込む中でそのニーズを拾う形で中古車市場が活況を呈した。ところがビッグモーター不正問題の発覚や、年末に世間を揺るがしたダイハツ工業の不正発覚の影響で、新車・中古車共に自動車販売を取り巻く環境は再び不透明な状況に陥っている。

そこで帝国データバンクでは、自動車販売業界を取り巻く環境や景気DI(※1) の動きを分析した。

※1 景気DIは、TDBが算出する全国企業の景気判断を総合した指標。50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる


■半導体不足解消による堅調な回復傾向に、ダイハツ不正問題が冷や水

自動車販売DI (※2)は、2019年10月の消費税増税以降の買い控えなどにより下落傾向となるなか、コロナ禍による緊急事態宣言発出などの影響で、2020年5月には15.3とリーマンショック直後の水準にまで急落した。しかしその後は、感染回避の為の公共交通機関回避の動きや、中古車市場バブルなどが下支えし、全産業DIを上回る動きを見せた。

しかし、コロナ禍以降の慢性的な半導体不足に加え、2021年夏頃に発生した東南アジアのコロナ感染再拡大によるサプライチェーンの寸断の影響から、自動車販売DIは再び全産業DI を下回り始め、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻や、2022年3月末~5月末の上海ロックダウンなどの影響により、低水準で推移した。

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※2 自動車販売DIは、「自動車(新車)小売」「中古自動車小売」の景気DIから算出

2023年に入ると、半導体不足の解消と共に自動車生産・販売が回復傾向となった。それに伴い、2023年4月の自動車販売DIは43.0まで上昇し、全産業の景気DI 44.6に迫る水準まで回復。

しかし、2023年7月に明るみに出た中古車販売店大手ビッグモーターの不正問題の影響により中古車業界のイメージが大きく低下。さらに、ダイハツ工業の品質不正問題が発覚、2023年5月に設置した第三者委員会によって、2023年12月20日に新たに174個の不正行為が認定され、全車種の生産・出荷を停止する事態となり、同月の自動車販売DIは39.1と景況感を押し下げた。


■2023年は半導体不足の解消とともに販売・登録台数は微増も、
コロナ禍前には届かず

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2023年の普通自動車の販売台数は約399万台と前年比16.0%増、中古自動車の販売台数は230万台と同2.1%増となった。 背景としては、半導体不足の解消効果と共に、2023年秋に開催された「ジャパンモビリティショー」を見据え投入された新モデル効果等も挙げられる。また、新車流通活発化に伴う中古車登録数増加という効果も表れた。

しかし、ダイハツ工業の出荷停止約1カ月で日本の新車市場から約7万台(2022年度ダイハツ国内生産台数から算出)の新車供給が滞る計算となり、また帝国データバンクが2023年12月21日に発表した「ダイハツ工業のサプライチェーン調査」によると、ダイハツ工業を頂点とするサプライチェーン企業は国内に推計8,136社、派生する売上高合計は推計2兆2,110億円と影響は広範だ。

さらに、昨日発表された豊田自動織機の自動車用ディーゼルエンジン不正問題を受け、トヨタ車種の出荷停止に止まらず、エンジン供給を受けるマツダや日野自動車1車種の出荷停止にも影響が出ており、ダイハツ工業の親会社であるトヨタのグループ統治に対する信頼をも揺るがしている。トヨタグループの構造改革は待ったなしの状況で、改革の進捗による今後の自動車生産台数、自動車販売業界への影響は避けられない。

災い転じて福と成すとなるか、当面の動向を見守りたい。

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