TDB REPORT ONLINE

名目成長率 2022年度+1.6%、2023年度+2.1%、2024年度+2.3%
実質長率 2022年度+1.3%、2023年度+0.9%、2024年度+1.0%を予測


1.景気は4カ月ぶりに改善

企業の景況感について、2023年3月のTDB 景気動向指数(景気DI)は前月比1.8ポイント増の43.9となり、4カ月ぶりに改善した(図表1)。

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3月の国内景気は、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染者数の落ち着きやマスク着用ルールの緩和にともない消費者のマインドが明るくなるなどアフターコロナに向けた動きが加速した。新型コロナが流行した過去の年度末と異なり、旺盛な旅行需要や卒業、送別会などにともなう消費活動が目立ち、個人消費関連を中心に幅広く景況感は上向いた。また、卒業や就職などの季節需要の増加も押し上げ要因となった。

一方、仕入れ価格の高止まりや人手不足・技術者不足による機会損失の発生は悪材料だったほか、生活必需品などの価格高騰の継続はマイナス要因になっていた。業種別にみても、マスク規制の緩和にともない消費者のマインドが改善。春休みや送別会、引っ越しなど季節需要も重なり人流が増加し、幅広い業種がプラスに転じた。

中でも個人向けサービス業が大幅に改善した(図表2)。インバウンドや春休みによる需要増などが好材料となり「旅館・ホテル」は同11.5ポイント増。新型コロナ感染第6波の影響を受けていた前年同月からは40ポイント以上の改善となった。「飲食店」は卒業祝いや送別会といったイベント開催などにともない2カ月連続の改善となった。「娯楽サービス」も、「自粛していたコンペの開催が増えた」(ゴルフ場)といった声にみられるように、感染症対策の緩和でマインドが改善し、調査開始以来初の50台へと上昇した。

図表2.jpg

また『運輸・倉庫』は、4カ月ぶりに改善した。「年度末における公共工事の集中、民間企業の駆け込み発注、引っ越し関連の物流が増えている」(一般貨物自動車運送)などの季節需要により、トラック輸送を中心に好調となった。加えて「港湾・車両ともに荷動きが多くなってきている」(普通倉庫)とあるように倉庫業も上向いた。また、先行き不安感の減退から、旅行需要や企業のリアルによる研修などが増加し、旅行業も復調した。ただし、仕事量は回復しつつも、燃料費高騰や人件費増などが不安要素となっている。

全体として国内景気は、懸念材料はあるものの人出の増加にともなう消費活動がけん引し、上向きに転じた。

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