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本連載では、日本企業の進出先として想定される世界各国の政経情勢を取り上げる。第19回はフランスを紹介する。フランス経済は厳しい局面を抜け出しつつある一方、政治面では他の欧州諸国と同様、移民の増加や「欧州グリーンディール」実現のための環境規制強化を背景として人々の不満が高まっている。以下では、足元の政経情勢を振り返るとともに、6月の欧州議会選挙を前に正念場を迎える政権の現状を解説する。

■足元の景気は停滞も、年後半は回復ペース加速が期待
■移民増加や環境規制強化を背景に、人々の不満高まる
■政権は苦しい議会運営を強いられる中、求心力が低下
■6月の欧州議会選挙では極右の躍進不可避の情勢
■次期EU体制でリーダーシップ発揮のためにも、債務削減計画の策定が急務


■足元の景気は停滞も、年後半は回復ペース加速が期待

2023年のフランス情勢を振り返ると、まず経済面では、高インフレやECB(欧州中央銀行)による利上げが個人消費や住宅投資を中心に景気を下押し、海外経済の減速により輸出も不振となる中で、実質GDP成長率は+0.9%と成長が鈍化した(2022年:+2.5%)。

2024年入り後も低調な状態が続くものの、フランスを含めユーロ圏諸国のインフレ率が総じて落ち着きつつある中、ECBは6月にも利下げを開始するとみられる。

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