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IoT市場の拡大が加速するなか、通信インフラの柔軟性とスピードが企業競争力を左右する時代が訪れている。モノとモノがリアルタイムでつながり、データが経営資源として価値を持つ現代において、IoT社会を支える存在として注目されている企業がある。2024年3月26日、東証グロース市場への新規上場を果たしたのが株式会社ソラコム(東京都港区)だ。

IoT通信プラットフォーム「SORACOM」をグローバルに展開する同社は、スタートアップからM&AによりKDDIのグループ企業となり、大企業の傘下に一旦入り成長してから上場する「スイングバイIPO」を実現した。

“世界中のヒトとモノをつなげ、共鳴する社会へ”をビジョンに掲げ、IoT(Internet of Things)をより身近に、迅速に実現できる環境の構築を進めている。日本発のグローバルIoTプラットフォームの確立を目指す同社について、Finance&Accounting IR Managerおよび公認会計士の長野氏に、スイングバイIPOまでの道のりと今後のビジョンを聞いた。

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株式会社ソラコム Finance&Accounting IR Manager 公認会計士 長野 友樹 氏

-事業内容とその特徴についてお聞かせ下さい

当社は、IoT向けのデータ通信を軸に、IoTの製品開発を加速させる通信プラットフォーム「SORACOM」を提供しています。ソラコムの通信技術は、街中の電動キックボードや子供の見守りサービス、ガスのスマートメーター(自動検針)など、多岐にわたる業界で採用されており、これまでに3万を超えるお客様に利用されています。

ソラコムのプラットフォームは、IoTシステム開発に必要な機能を22個のサービスとして提供しており、これをブロックのように組み合わせて利用できます。例えば、スマートメーターの場合、データ変換やクラウド連携などの機能を利用し、必要に応じて機能の追加も可能なので、迅速にサービスを構築することができます。

ソラコムの成長を支えている技術的な特徴として、通信事業に欠かせないシステムであるモバイルコアを独自にソフトウェアでクラウド上に構築したことが挙げられます。

従来の通信事業者は、需要を予測し、そのピークを余裕をもって処理できるよう、事業者側で、交換機など専門的で高価なハードウェアをはじめとした大規模な設備投資を必要としました。そのため、顧客の利用料やサービスも規模が大きいほど有利となり、試験的に小規模から始めてみたいといった要望には導入までの壁が高いことが課題でした。これに対しソラコムでは、IoT向けの通信システムをクラウド上にソフトウェアとして構築することにより、事業者側であらかじめ大きな設備投資をせず、顧客が必要とする分だけインフラを準備して提供することができるため、低コストで高効率な通信サービスの提供を実現しました。

また、ソラコムの通信は180以上の国と地域をカバーしており、そのどこからでもサービスを利用できる点を高く評価していただいています。

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出典:株式会社ソラコム 投資家様向けビジネス概要(2025年5月14日)

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